お茶のいただき方伝統芸能 

【茶道を知る4】お茶のいただき方

茶道を知りたいと思っていない人でも、お茶会に呼ばれる機会に遭遇することはあります。客人に日本文化の一部を知ってもらうため、もてなしの心を伝えることのできるお茶会は、しばしば催されるからです。

ホテルでも、茶室を設けたり、ロビーに立礼棚を置いたりして、お客様へのもてなしができるスペースを持っている場合もあります。

末広棚
ホテルのロビーに設置された立礼棚

とくに、海外から来られたお客様には、喜んでもらえるサービスとして茶会は採用されやすいのです。
茶会はコミュニケーションの場でもあります。戦国時代から安土桃山時代には、茶道が交渉の場としても大きな役割を果たしたともいわれています。

しかし、招かれた方は「作法を知らない」とドギマギしてしまうかもしれません。作法を知らなくても、なんとなく周囲の人が指南してくれるはずですから、心配することはありません。ただ、少し心得があることを見せることができれば、「日本文化に興味があるのかな」と親近感を持ってくれるはずです。
お茶のいただき方だけでも覚えておいて損はありません。

お茶のいただき方

1. 縁外(へりそと)にお茶が運ばれてきます。

お茶が運ばれてきます。

縁外・・・畳の縁を中心にして自分の座っている側を「縁内(へりうち)」、向こう側を「縁外」といいます。茶席においては、畳の縁は亭主(お茶をふるまう人)の領域と客人の領域の境界線という意味があります。

2. 下座に客がいる場合は、次客との間に茶碗を置きます。

次客との間に茶碗を置きます

3. 次客に対して「お先に」とあいさつをします。

「お先に」とあいさつ

4. 茶碗を自分の正面の縁内に置きなおし、亭主に「お点前頂戴いたします」と真のお辞儀をします。

お点前頂戴いたします

真のお辞儀・・・ 最大級の敬意を表すお辞儀で、お床を拝見するとき、お茶をいただくとき、亭主にお礼をいう時などに使います。手のひらをすべて畳に付け、背筋は伸ばし、ひじは少し曲げて、頭だけでなく、腰から曲げて頭を下げます。
裏千家には「真のお辞儀」「行のお辞儀」「草のお辞儀」の三種類があります。軽い会釈のようなものから、正式なものまで、指の関節がどこまで畳に付くかなどの違いがあります。

5. 右手で茶碗を取り、左手のひらの上に乗せ、両手でしっかり持ちます。

両手でしっかり持ちます

6. 自分に向いている茶碗の正面を、茶碗を二度くらい回し、茶碗の正面を避けて何口かで飲み干します。

自分に向いている茶碗の正面を、茶碗を二度くらい回し、茶碗の正面を避けて何口かで飲み干します。

一口飲んでから「結構なお点前で」とあいさつする場合もあります。

茶碗の正面・・・一般的に、もっとも絵柄がしっかり入っていて、内側の柄も見えるところです。亭主はお客に対して茶碗の正面が見えるようにお茶を出します。

茶碗の正面を外して飲む理由・・・お茶をいただく時には、正面に口をつけるのは失礼という考えから、亭主に対する気遣いや敬意を払う意味があります。

茶碗を回す方向や回数・・・流派によって異なるので、この点については、あまり気にしすぎなくて大丈夫です。迷ったら、時計回りに2回茶碗を回すのでいいでしょう。

7. 飲み終えた後は、茶碗の口をつけた部分を右手の親指と人差し指で、軽くなぞります。その指は懐紙で拭きます。茶碗の正面を元に戻すために、お茶を飲む前とは逆の方向に茶碗を二度ほど回します。

その指は懐紙で拭きます。茶碗の正面を元に戻すために、お茶を飲む前とは逆の方向に茶碗を二度ほど回し、右手で自分の前にお茶碗をおきます。

このあと、茶碗の拝見をしてもいいですし、拝見せずに茶碗を返しても構いません。

茶碗の拝見についてはこちら。

【茶道を知る5】茶碗の拝見

8. 茶碗を返す時は、茶碗の正面を亭主に向くようにして、縁外におきます。

縁外に茶碗を戻す

関連記事